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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第28章 度外視の恋慕


いつもより少し早く執務席につく。
「おはようございます」
いつも、一番に挨拶をするのは秘書のセシル。
「本日のご予定、変更について確認いたします」
いつもなら、デスク脇に置かれるコーヒーはない。
手元の銀のボトルを見て、不要と判断したのだろう。

「16時より外出とのことですが」
「ああ、私用だ。戻り無しで頼む」
「かしこまりました」
淡々と答えるセシルはいつものことで、デスクのパソコンを立ち上げる。

「その他に連絡事項ございますか?」
「特にはないな...あ、今日、ランチ・ミーティングあったか?」
時折、他部署と予定が組まれる昼食を兼ねた打ち合わせ。
「いえ、本日は予定されていません」
「ん、よかった」
🌸の弁当が食える、と上機嫌。
「そうだ、セシル」
机を腕を乗せ、ちょっと教えてくれ、と問う。
「近くで、なにか甘いものを買うならどこがいい?」
彼女が甘いものを好むタチかは知らないが、女性に人気の流行り物の店は知っているかもしれない。

「最寄りでしたら、駅ビルの中にいくつかありますよ」
よく行列ができている有名店を上げると、んー、と考え込む。
「少し珍しいものをご所望ならば、『C/k』はどうでしょうか」
ポケットから携帯を取り出す。
「和菓子の素材で洋菓子を作る、最近できたお店です」
電話横のメモに左手で書き込み、ありがとう、と礼を伝える。

いつもフラットで丁寧な対応のセシル。
3人女性が在籍している秘書課の中で、入社当初から秘書業務をこなし、広い世代に評判がいい。
二日酔いで出勤してくることも多いシャンクスに、彼女はいつも薬や水の用意をしている。
気遣いの的確さと素早さは、幹部の中でも評価が高い秘書だ。

「ん?珍しいな」
振り返ったセシル越しに確認する。
「おはようございます。ベックマン副社長」
「おはよう、セシル。午前中から機嫌の良い頭がいるとは...今日は槍が降るか?」
フッ、と笑うベックマンに、セシルは困ったように笑った。
「セシル、『今日は槍が降るでしょう』と社内放送しておけ」
「なんだよ、それぇ」

いじけるシャンクスがデスクのボトルを手に取る。
それを飲む姿を珍しそうに見るベックマンが、数枚のバインダーを手に、業務についてシャンクスに声をかけた。
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