• テキストサイズ

依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第27章 二人の朝をはじめよう


官公庁者や公共機関が多い地区。
犇めくような出勤者を横目に「社会教育総合センター」と書かれた案内板の立つ駐車場の一角に停めた。

右手に見える四角く大きな図書館と歴史資料館を兼ねた5階建ての学習館。それに繫がる2階建ての児童館。左手には独立して保健センターと総合庁舎。
「🌸は、どの建物にいるんだ?」
「私は、学習館の4階で事務作業しているか、1階で受付業務してます」
あの建物、と🌸が学習館を指す。

「今日は休日明けで休館日だから、多分、一日4階にいるかと」
ハンドルに凭れていた体を、シートに預けるシャンクス。
「何だ、入れないのか」「え?来る気ですか?」
なぜ、とシートベルトを外す。
「学習館はまだしも、シャンクスさんが児童館...」
似合わない、と笑っている🌸の腕を掴んで引き寄せた。
「敬語と、さん付け」
早口に言って🌸が呆気にとられているうちに2回、角度を変えて唇を奪ったあと、最後に強く吸い上げる。

「なっ!」
手の甲を口にあてて赤くなっている。
「学習能力ねぇな。わざとか?」
眉間に皺を寄せてすぐにキスできる距離まで身を寄せる。
「さん付け、敬語は?」
「無しでした、っ無しね」
少し顔を寄せた分だけ引き下がる🌸。

「し、仕事の話ししてると、つい」
仕事中は基本敬語なんだよ、と言い訳する🌸。
俺は上司じゃねぇ、と小さい鼻を摘み上げる。
「ていふか、なんで3回ひたの」「っくく」
鼻詰まった変な声に、溢れた笑声を手で抑える。

「出る時もさん付けしたろ?」
わざわざ覚えていたのか、と驚愕している🌸。
「え、これ、いつまで続くの?」
んー?と髪が崩れないように撫でてやる。
「半永久的に?」「なにそれ」
クスクスと笑う🌸。
(このままどっか連れてっちまうか)
後頭部を引き寄せてもう一度キスをする。唇を吸うと、軽く食んで応えた。

「連絡しろよ」「はぁい」
生徒のような返事をした🌸。
「仕事、頑張って」「お互いにね。シャンクスは運転も」
分かった、と頷いて車を出す。

敷地から出る直前の信号で停まる。
横断歩道を渡って🌸と同じ方角へ向かう男が、咥えていた煙草を携帯灰皿に押し付ける。
その腕に掛けていた背広を羽織る様子を、なんとなく眺めていた。
/ 290ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp