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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第27章 二人の朝をはじめよう


弁当を作る時間など、微塵も頭に無かった。

7時までに起きれば充分間に合うと踏んでいたのに、一時間も早く🌸の設定したアラームは鳴った。今までなら、下手をすればこれから寝ようかなんて考えている時間。
明け白けた空を見てから寝るのが常になっていた。

ニコチンで覚ましきれなかった眠気に噛み殺しきれなかった欠伸をして、目を擦る。
クスクスと笑う振動が繋いだ右手から伝わる。
「大丈夫?起きてる?」
初めて見る🌸の通勤スタイルをじっくり観察する余裕もなく、彼女の職場まで向かう用意をする。

駐車料金を払って、いつも通り後部座席に置きっぱなしのサンダルに履き替えて運転席に乗り込むと、はい、と差し出される紙幣。
なんの金だ?とシートベルトを引きながら、首を傾げて助手席の🌸に疑問の目線を投げる。
「駐車場代」
帰らないでって言ったのは私でしょ?と突き出してくる。
やっと動き出した頭で、断ったってまた押し問答になるな、と右手で指先から抜き取ると、🌸の首元を粧うスカーフに差し込んだ。

「え、ちょっと」
「弁当代」
ん、と後部座席に置かれた紙袋を目線で示す。

「向こう着いたら食う」
コーヒーも入れてくれてるだろ、と🌸がシートベルトを締めたのを確認してエンジンをかけた。

「材料費払ったのシャンクスさん...」
「食えるように支度してくれたのは🌸だ」
光熱水費、調味料代、手間賃と言ってシフトレバーを握る。

「ガソリン代」

スカーフから取り出して差し出してくるのを、めんどくせぇ、と一蹴し、不満そうな唇に一つ、キスをしてハンドルを握った。
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