依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第27章 二人の朝をはじめよう
Pipipipipipipi Pipipipipipipi
聞き慣れたアラーム音に、布団に埋もれる。
繰り返し、徐々に音が大きくなる音にモゾ、と動くと肌寒い温度が入ってくる。
寝慣れた寝具がすごく狭く感じて、うん?と少しだけ意識が覚醒する。
Pipipipipipipi
相変わらず枕元で鳴り続ける携帯に手を伸ばす。
あと少しで指先が触れる、というところで背後から伸びてきた浅焼けている大きな手に携帯ごとガシッと握られて、ヒュッと息を飲んだ。
ぐいっと腕ごと後ろに持っていかれて、いつの間に絡んでいた足が体を引き寄せた。
首の下に入っていた手がアラームを止めるのを目で追うと、今度はポイッとスマホを放った手が二の腕を掴んで体を反転させられる。
「うるせぇ」
真上で聞こえる掠れた低い声。
頭の下の逞しい腕の温もりや後頭部を撫でる力の入ってない手にまた、ウトウトと眠気に襲われる。
「いやっだめだって!」
ガバッと体を起こすと、サイズの全く合っていない白のトレーナーを着ていて、ブラン、と垂れ下がる袖から両手を出す。
「うるせぇ」
「あ、ごめんなさい」
低い声につい謝って振り返ると、ベッドに伏せて両手で髪をかき上げている。布団が捲れて、筋肉の筋が目立つ上裸の背中がムクリと起き上がる。
「何時だ?」
パンツ一枚で胡座をかき、ガシガシと頭を掻いた左手で首を撫でる。
「6時です」
「早ぇよ」
払い捲った肌掛けを引き寄せて、ゴロリと横たえた身体を目線で追うと、隙間から出てきた手に腕を引かれる。
「あと4時間」
「余裕で遅刻です!7時50分には出ないと」
お弁当も用意しなきゃ、と言う言葉に薄目を開けた。
(やっぱり、綺麗)
少し涙の膜が張り、宝石玉のような艶を持つブルー・グレイに見惚れる。
「何、作るんだ」
「なにって...えっと、あ、ごはん炊き直してない。
ピラフの残りはおにぎりにして朝食べて...
昨日のマリネと残りのチーズとかでサンドイッチにしようかな」
マリネ、ウインナー、たまごと具材を考える🌸に向けられる眠たげな目線。
「なに?」
「腹減ったな、と思って」
「...同じものでいい?」
笑って頷く彼の寝癖がついた髪を撫でる。
用意始めるね、と布団から出ると服や下着がそのままで、まずはシャワーと洗濯しなきゃ、と急ピッチで作業工程を組み立てた。
