依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長
第26章 言葉でなくても❦
閉まったドアの施錠を確認して振り返ると、アルコールの味がするキス。
腕を掴む手に触れる体温が熱くて、彼の体に回ったアルコールが少なくないことを知る。
時折漏れる吐息にぶどうの香りがする。
アルコール味のキスが、すごく懐かしく感じた。
背中に這う指先の感覚に、少し、慣れたような気がした。
彼の真似をして、つぅ、と広い背中をなぞる。
腰に回された腕に力が入って、トン、と二人で浴室のドアにもたれ掛かる。
ずる、と座り込んだ体に引き下ろされ、長い脚の間に膝立ちになる。首を反って見上げていたのを、今度は上から見下ろすように接吻る。
自分が吐き出した吐息にも、アルコールの香りが移った。
「ワインってもっと甘いのかと思ってた」
舌に少し、渋い風味が残っている。
「あんまり、得意じゃないかも」
「サングリアなら、🌸も好きだと思う」
「サングリアってワインで作るんだっけ?」
そう、と少し赤みを帯びた頬に触れると、ひどく体温が高い。
「果物とスパイスをワインに漬け込んで作る」
「美味しそう」
「漬け込んだ果物を軽く潰して紅茶に入れるのもありだな」
頬を撫でていた手に温かい手を添えて、掌にキスをしている。触れている頬と逆の頬に真似てキスをする。
「🌸」
「ん?なに?」
額と瞼にキスを繰り返されて、目を閉じていた。
「うちに、戻るか」
どういうこと?と首を傾げて見上げたシャンクスは、少し困ったように笑っている。そっと指先で耳を弄られる。
「んぁっ」
「正直、お預けはキツイ」
スリスリと撫でられる耳。
力が抜けてくたり、と彼の体にもたれかかる。
「でも、お酒飲んでる」
運転できない、と見上げると、そうか、と言って肩口に額を当てて少し唸る。
「タクシー使うか」
歩ける距離じゃないし、と言う彼の袖を軽く引く。
「ここじゃ、だめ?」
流石に目を合わせて言えなくて、俯く。
しん、と静まり返った部屋で心臓の音がすごくうるさくて、またニットの袖を引いた。
「🌸、」
ゆっくり顔を上げたら、少し肩を押されて額にキスされた。
軽く腰を上げて片膝をつく彼を見上げる。
「わっ!」
ふわっと抱き上げられた感覚がまた、デジャヴュだ、と首にしがみついた。