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依々恋々-イイレンレン-@Shanks in 現代社長

第6章 6年間の始まり02


お礼を、と言うサナに、はじめこそ辞退した彼は、ジウの「そのあたりの礼儀は通さないと、魔王に私が〆上げられるので」というセリフに目を見開いたのちにケタケタと笑って、明るい通りに面した深夜まで営業しているカフェを提案してくれた。


「ジウちゃんは、ロー君のことを『魔王』とか『死神』だ『マッドドクター』だと言うけど、本当の彼はとっても優しくて強い人なのよ」
すっかり恐怖から開放され、そのきっかけを作った彼に心を開いているサナは、にっこりと笑ってティーカップに入ったハニーミルクティーを両手で包み込む。

「私から言わせると『とっても優しくて強い』のが化けの皮で、『魔王で死神でマッドドクター』の方がやつの本性だと思ってる」
「そんなことないよー。ローくんは真っ当なお医者様よ?」
「真っ当なお医者様は、婚約者の友人を買収したりしない」
これまでの奴の行動を思い起こし、「実に迷惑だ」と言った顔でサナと揃いのティーカップに入ったストレートのセイロンティーを飲むジウ 。

ミルクだけ入れたコーヒーが入ったカップを左手に持って、軽く机に肘をついた恩人は「シャンクス」と名乗った。

「魔王で死神の婚約者先生とは、知人なのか?」
ああ、あとマッドドクターか、とおかしそうに二人の話を聞いていたシャンクスは、ジウに向き直った。
「知人というか、腐れ縁です。」
サナが後を引き受ける。
「私とジウちゃんは小学校に入る前から、彼とジウちゃんは中学からの幼馴染み。彼は、結婚前に友達と楽しんでこい、って旅行に送り出してくれたのよ」
「そりゃあ、いい旦那もらったな」
幸せにしてもらえ、と笑うシャンクスの顔を、ジウはセイロンティーを飲むふりをして盗み見た。
カップを置いた彼と目が合って、パッと逸らす。

主に話していたのはサナだったが、幾度か目が合うたびに微笑む。
カラッと笑う笑顔の左目に走る三条の傷が、脳裏に焼き付いた。
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