第4章 告げる
杏「…………………………そうか………。」
杏寿郎は自身の中の何かがぷつりと切れたのを感じた。
杏「好きだと言われれば誰でも良いのか。」
「そ、そういう訳じゃ」
杏「俺が二年前から君を守ろうとしてきたのは俺の為でもあった。」
「………え?」
杏寿郎が何故怒っているのか、何を話しているのか、つむぎはよく分からず首を傾げた。
杏寿郎はそんなつむぎの髪を梳くようにしてリボンを地に落とす。
「あ、」
つむぎがそんな事をされて驚いていると、杏寿郎は屈んでつむぎに口付けた。
「!!!」
つむぎは驚き、反射的に顔を背けてしまった。
杏寿郎はそんなつむぎの頬がきちんと赤く染まっている事を確認し、満足感と共に目を細めた。
杏「その男よりも俺の方がずっと君を愛している。二年前からずっと、君を他の男にやるまいと、傷付かせまいと、そう守ってきた。」
「……………え……?」
つむぎは更に赤くなりながら顔を正面に戻した。
見つめた先の杏寿郎は真剣な表情をしている。
元よりこんな冗談を言う男ではないと分かっていたが、それでも理解が追いつかなかった。