第1章 始まり
つむぎの家、五十嵐家も代々鬼狩りを生業として生きてきた一族であったが、煉󠄁獄家とは訳が違う。
煉󠄁獄家は戦国時代から柱を途絶えさせた事がないという最大の名家、名門中の名門なのだ。
それ故につむぎはまた肩を跳ねさせた。
煉󠄁獄家の少年はそんなつむぎを大きな瞳で見つめて首を傾げる。
煉󠄁「何だろうか!」
「い、いえ…、お悩みにならないのだなと思っただけでございます。」
そう丁寧な言葉を使うと、その少年もつむぎがどんな家の者なのかを悟った。
玉鋼を選ばなければならない他の二人は、玉鋼ではなくつむぎを不思議そうに見ている。
煉󠄁「そのような言葉を使う必要はない!ただの同期仲間として接してくれ!そして、悩まなかったというより全く分からなかっただけだ!」
そう言って再び浮かべた彼の笑顔は温かかった。
「そう…なんだ。じゃあ私も悩むのやめようかな…。」
つむぎがそう呆気なく言葉を崩すと、少年は少し目を丸くしてから嬉しそうに笑った。