第1章 始まり
「…っ」
つむぎは思わず肩を跳ねさせてしまった。
しかしその少年は鴉を腕に乗せているつむぎを見ると、ただにこりと笑って再び前を向いた。
ひ「この鎹鴉は主に連絡用の鴉でございます。それでは…、」
そう言うと二人は後ろにあった台に向き直り、掛かっていた布を取った。
ひ「こちらから玉鋼を選んで下さいませ。」
その言葉につむぎは喉をこくりと鳴らした。
自分だけの刀を持てるのはやはり嬉しい。
ひ「鬼を滅殺し、己の身を守る刀の鋼は、」
に「ご自身で選ぶのです。」
生き残った四人は台の前に寄り、その玉鋼とやらを眺めた。
(でも、選べって言われても…、)
そう眉を寄せると、煉󠄁獄家の少年がパッと一つの玉鋼を手に取った。
「えっ」
思わずそう言ってしまうと再び目が合う。