第3章 守る決意
(甘さを確認されて、でもそれが誰にでもって訳じゃないって分かったら満足…って、)
杏「だが、知っていなければ防げない事もあったな。つむぎ、蕎麦屋に誘われたら必ず断れ。」
その低い声で放たれた忠告につむぎは首を傾げた。
杏寿郎はそんなつむぎの頭を優しく撫でた。
杏「俺も今日知ったのだが、蕎麦屋の二階には男女が営みをする為の場があるらしい。相模さんはそれに誘っていたようだ。」
「え゙!?」
杏「俺も長谷川さんから聞いた時は心臓が口からまろび出るかと思ったぞ!」
(そっか…相模さんに対して怖かったのも何か感じ取ってくれてたからなのかな…。)
そう思うと杏寿郎の行動が頼もしくて嬉しくて、一気に心が温かくなった。
『守ってくれてありがとう。』
つむぎはそう書くと、杏寿郎に嬉しそうな笑みを向けた。
杏寿郎はその笑顔に目を細める。
杏(まだこの子に色恋は早いだろう。適切な年齢になるまでは大事に守るとしよう。俺の気持ちを伝えるのはその時だ。)
そうして杏寿郎は誤った選択をしてしまったのだった。