第3章 守る決意
杏「つむぎ。」
「で、でも…、」
相模は睨みこそしたが、杏寿郎を止めようとしなかった。
力で敵わないことを悟っていたからだ。
(手首…痛い。離してくれなさそう……。)
つむぎは杏寿郎の手を見つめると眉尻を下げ、そして申し訳なさそうな顔を相模に向けた。
「あの…すみません…し、失礼します…。」
そして戸惑いながらもそう言い、杏寿郎に引っ張られるまま蕎麦屋を出ていったのだった。
「杏寿郎くん……?ねえ、」
つむぎは杏寿郎の気を引こうとして軽く腕を揺らしてみた。
それでも杏寿郎は振り返らない。
「…ねえ……、」
今度は遠慮がちに腕を自身の方へ引いてみたがやはり反応は無い。
訳が分からなかったつむぎは困って眉尻を下げてしまった。
そうして無言のまま歩いていると、こちらを見付けた長谷川が駆け寄ってきた。