第3章 守る決意
長「煉󠄁獄!五十嵐!!良かった!!」
「え…?」
つむぎはほっとした様子の声色に首を傾げた。
杏「長谷川さん、ありがとうございました。お陰で間に合いました。」
その言葉につむぎはまた首を傾げ、長谷川は眉尻を下げて微笑んだ。
長「ああ。これで少しでも五十嵐さんに恩返しできたのなら良いんだが…。」
「五十嵐…さん?」
つむぎが杏寿郎の背から顔を覗かせると長谷川は微笑んだ。
長「五十嵐、兄がいるだろう。笑うと目尻に笑い皺が出来る方だ。二年前は丙で髪の毛先は緑色だった。」
つむぎはそれを聞くと息を呑み、杏寿郎の背中にしがみついたまま身を乗り出した。
脳裏に優しい笑顔が浮かぶ。
(いなさお兄様だ…。)
「多分…兄です。何でご存知なんですか…?」
杏寿郎はつむぎの輝く瞳、そして長谷川の嬉しそうな顔を見て、二人が共に知る人物の話をしだしたのだと悟った。