第3章 守る決意
杏(蕎麦…蕎麦屋…ッ)
そう探しながらつむぎの悪戯めいた幼い笑顔を思い浮かべる。
こんな形で男に汚されればその笑顔を一生見られなくなる気がした。
心に傷を負ったつむぎの後ろ姿を想像するだけで腸が煮えくり返りそうだった。
杏(だから自覚をしろと言ったろう!!)
そう思った時ちょうど蕎麦屋を発見し、杏寿郎は怒気を漏らしながらのれんをくぐったのだった。
(あれ…杏寿郎くん。何で…、)
相模は険しい顔つきで店に入ってきた杏寿郎を見て舌打ちをした。
蕎麦で頬を膨らませているつむぎがそんな相模に驚いていると、あっという間に席まで歩いてきた杏寿郎がつむぎの手首をパシッと掴んだ。
杏「出るぞ。」
「んゔ!?え、えおまあおとばあええいうおううえ、」
そう言いながら首を横に振ったが、杏寿郎は黙ってつむぎの手を強く引いた。
つむぎは引かれるまま立ち上がるとごくんと蕎麦を飲み込む。
「あ、あの…相模さん…、」
そう振り返ってビクッと肩を跳ねさせた。
相模が酷く苛立った顔で杏寿郎を睨んでいたからだ。
つむぎはその顔が醜くさえ見えて固まってしまった。