第3章 守る決意
相「五十嵐!奢るって言ったろ。行くぞ!!」
「え、あっ、はい!!」
つむぎがあたふたとしながら杏寿郎を見ると、杏寿郎はまた穏やかでない表情を浮かべている。
つむぎはそんな杏寿郎に眉尻を下げながら『少しご飯食べてくるだけだから。杏寿郎くんも好きなもの食べてて。』と書いた紙を見せた。
杏「…だが、」
「ほんと大丈夫だから!ちょっと!ちょっとだけ!」
昇進の為のアドバイスが欲しかったつむぎは人差し指と親指を近付けて見せ、眉を寄せる杏寿郎に縋るような表情を向けた。
杏「…分かった。俺はここにいる。食べ終わったらすぐ戻ってくるんだぞ。」
杏寿郎が何故そこまで相模を敵視するのか分からなかったつむぎは、杏寿郎の頑なさに眉尻を下げながら頷いた。
そんなやり取りを横目に見ながら綾瀬川が相模に近付く。
綾「何食べに行くんですか?」
その問いに相模がつむぎを見ながら爽やかな笑顔を浮かべる。
相「こんな日には蕎麦だろ。」
長「えっ」
思わず声を上げた長谷川はすぐにハッとして俯いた。
相模に睨まれたからだ。
そんな相模が唇を噛み締める長谷川の前に立つ。
相「上官の邪魔をするなよ。分かってるよな。」
長「で、ですが…、煉󠄁獄隊士から彼女はまだ十四だと聞きました…。」
それを聞いた相模は可笑しそうに笑う。
相「ああいうツラが良い女は、熟してなくても美味いんだよ。」