第3章 守る決意
相模がゆっくりと杏寿郎に視線を移す。
杏寿郎は汗一つかいていなかった。
長「はい…。俺達の所にも出たんですよ。煉󠄁獄が一撃で仕留めてくれたから助かりましたが、彼がいなかったら今頃まだ戦っていました。」
長谷川はそう言いながら近付いてきたつむぎに筆記用具を返し、再び杏寿郎に視線を戻す。
長「……速さも力も俺よりずっと上ですし、すぐ階級上がりますよ。」
つむぎはそれを聞きながら、懐紙に『杏寿郎くんがすごいって話してるよ。』と書いた。
杏「君も十分すごかったぞ!先程も言ったが、速すぎて目で追うのがやっとだった!鬼ごっこをしたら勝てないだろうな!!」
つむぎはそれを聞くと目を丸くしてからにこっと幼い顔で笑う。
その時にはもう、任務前の喧嘩のことなど忘れてしまっていたのだった。
———
相「では、解散としよう!」
相模のその言葉に杏寿郎以外の隊士が『はい!!』と返事をすると、場の空気は一気に緩んだ。
つむぎは『んーっ』と言いながら大きく伸びをし、達成感から浮ついた表情を浮かべた。
そんな所に相模が近寄ってくる。