第3章 守る決意
輪に加わってみると、逃げ惑うしか出来なかった八重草と綾瀬川は少し居心地悪そうにしていた。
また、五度も首を斬ることに失敗した相模も、偽りの笑みを浮かべていた。
そして、それが偽りである事に気が付いていたのは杏寿郎だけであった。
つむぎは有り余る達成感からそんな周りの淀んだ空気に気が付けない。
褒められれば素直に嬉しそうな顔をし、そしてされるがまま相模に頭を撫でられていた。
杏「…つむぎ。」
杏寿郎はつむぎがあまりにも無防備な表情を晒すので、つむぎの手を掴んで自身の方へ引っ張った。
「わっ」
つむぎはバランスを崩すと杏寿郎の肩に手をつき、不思議そうに首を傾げる。
「…杏寿郎くん?」
長「煉󠄁獄!!相模さん!!!鬼はどうしましたか!?本当にいたんですか!?」
杏寿郎と相模が水面下でピリついていると、ようやく長谷川がその場へ到着した。
相「……ああ、新入りの二人が大活躍してくれた!俺は二体目で疲れていたからな…とても助かった!」
なんとかプライドを守りながらそう答えると、長谷川が額の汗を拭いながら再び口を開いた。
長「じゃ、じゃあこの森、三体いたんですね…。」
相「三体……?」