第3章 守る決意
(す、すごい……。相模さんは五回とも斬れなかったのに……。)
つむぎは目を丸くさせながら降りてきた杏寿郎に駆け寄った。
「杏寿郎くん!!」
そう呼び、こちらを振り返った杏寿郎と視線が合うと花のような笑みを浮かべた。
そして目の前に立つと懐紙を取り出そうとする。
しかしいくらポケットを探っても見当たらない。
「あ、そっか…長谷川さんに…、」
そう思ってパッと周りを見渡すと、相模が少し眉を寄せてこちらを見ていた。
(え…、)
そう驚くも相模はすぐに笑顔を貼り付けて誤魔化してしまった。
相「煉󠄁獄!五十嵐!今回の主役はお前らだな!!」
つむぎはその言葉を受けると素直に嬉しそうな笑顔を浮かべた。
「あ、ありがとうございます!!杏寿郎くん、相模さんが褒めてくれて」
杏「君の技は綺麗だな!!柳田と佐倉にも見せたかった!!」
「うん、ありがとう。あっち行こう?相模さんが」
杏「それからとても速い!!」
つむぎはそう言ってくれる杏寿郎の背を押し、笑いながら先輩達の輪へ向かったのだった。