第3章 守る決意
杏寿郎が駆け付けた時、丁度つむぎが長めの助走を始めたところだった。
杏(随分と速いな。目で追うのがやっとだ。)
そう思った時、つむぎが華奢な体を小さく丸めて技を放つ。
杏寿郎は初めて見る風車の技を見て目を見開いた。
つむぎの回転は速く、杏寿郎の目でも追えない。
ただ、つむぎが作る風車に髪の若草色が馴染んでとても綺麗に見えた。
杏寿郎はそれに目を細めた後、ダッと地を蹴った。
それと共につむぎが鬼の足を切断する。
「相模さ、」
杏「つむぎ!!横に飛べ!!!」
杏寿郎はそう言うと相模を抜いて高く跳躍する。
「杏寿郎くん…、」
つむぎは言われたまま横に飛びながらそう呟いた。
そんなつむぎの視線の先で杏寿郎が赫い綺麗な刀を抜く。
(あれが…煉󠄁獄家の色……。)
杏「炎の呼吸、壱ノ型——不知火ッ!!」
そう通りの良い声と共に放たれた技は易々と鬼の首を切断した。