第3章 守る決意
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長『五十嵐って風の呼吸か?』
一方、長谷川・杏寿郎組も別方向の森に向かって歩いていた。
杏寿郎は差し出された懐紙から視線を上げると、長谷川の瞳を真っ直ぐ見つめた。
杏「五十嵐は派生の呼吸を使っていますが、風の呼吸を継いできた家の者です!何故そう思ったのか訊いてもいいでしょうか!」
それを聞いた長谷川は少し嬉しそうな表情を浮かべた。
長『兄がいると言っていなかったか?二年も昔のことだが、丙の五十嵐という隊士に助けられたことがある。髪の色が似てるんだ。』
杏「……………………。」
父親が柱であった事は偶然知ったが、兄の話は聞いたことがなかった。
杏「分かりません。」
それを聞いた長谷川はがっかりしたように息を吐く。
長「俺も風の呼吸の使い手だからさあ、あれ以来憧れてて…って、聞こえないんだったな。」
長谷川は再び甲斐甲斐しく懐紙につむぎの兄だと思われる隊士への想いを書き出していった。
それを読んだ杏寿郎は自分の事のように嬉しそうな表情を浮かべたのだった。