第3章 守る決意
「杏寿郎くん…?」
杏「折れる気はない。俺と来てくれ。」
その強引な言葉に戸惑って視線を相模に移すと、相模は面倒そうな目で杏寿郎を見ていた。
「す、すみません…!煉󠄁獄くんに上手く伝わってないみたいで、」
そう取り繕っていると、杏寿郎が掴んだつむぎの腕をぐいっと引っ張る。
そして耳元に口を寄せた。
「な、」
杏「どう頑張っても君は女性だ。その自覚がないうちは男と二人切りになるべきではない。」
耳打ちされた言葉につむぎは眉を顰めた。
「相模さん!早く行きましょう!!」
そう言うと杏寿郎の肩をぐいと押し退ける。
杏「つむぎ!!」
「長谷川さん、こちら煉󠄁獄隊士との筆談の際にお使い下さい。」
つむぎはそう言って少し困ったようにしている長谷川に懐紙と鉛筆を押し付け、相模の元に走り寄る。
相模は組んでいた両腕を解くと小さく息を吐いた。
相「…ああ。では各自連絡を怠るなよ!解散!!」
つむぎは杏寿郎が燃える瞳で自身を見ている事に気が付いていたが、知らん顔をしてその場を去ったのだった。