第3章 守る決意
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千「五十嵐さんは…兄と出会ってまだ間もないんですよね…?」
腹拵え中、千寿郎はつむぎにそう話し掛けた。
その声色は様子を窺っているようであった。
「はい…。最終選別の時に初めて会って、昨夜再会したばかりですが…。」
つむぎがそう言って首を傾げると、杏寿郎も二人を見て首を傾げる。
千寿郎は二人に見られて少し居心地悪そうな表情になった。
千「いえ…、その、どうしてここまでしてくれるんだろうと思って…。」
確かに『お大事に。』とだけ言って別れる事も出来ただろう。
自分の怪我は自分でどうにかするものだ。
しかし、つむぎは杏寿郎の怪我を他人事のようには見れなかった。
(心配する気持ちもあるけど、私がしている事は自己満足でもあるんだろうな…。)
そんな事を思うと目を伏せて箸を置き、太腿に拳を握りながら視線を千寿郎に戻した。
「杏寿郎くんから聞いているかもしれないですが、同期は私達を入れて四人だったんです。でも昨夜、他の二人は死んでしまいました。同じ任務地で。」
つむぎがちらりと視線をやると、杏寿郎は食べる手を止めてつむぎ達を見ていた。