第2章 煉󠄁獄家
問われたつむぎは机の前に移動すると、そこに腰を下ろして懐紙を取り出した。
そして、『初任務についての報告を省かせちゃってごめんね。気を遣ったんでしょう?』と書いた。
杏寿郎はその文を覗き込むようにしながら隣に腰を下ろす。
杏「そんな事は気にしなくて良い。それより父上は君に何と言ったんだ。」
再びそう問われるとつむぎは堪忍したように息を吐き、鉛筆を握り直した。
『柱だった父についてだよ。』
杏寿郎はその短い文で大体の事を察した。
父親が他の柱についても『くだらない』、『才能が無い』と言っていた事があったからだ。
杏「すまない。」
静かな声色にハッとして視線を上げる。
見ると、杏寿郎の眉尻は下がっていた。
「そんな、煉󠄁獄くんが謝ることじゃないよ。」
つむぎはそう言いながら杏寿郎の両手を握り、首を横に振った。
すると杏寿郎はその手に視線を落とす。