第2章 煉󠄁獄家
(体のお加減が悪いからかな…。)
そんな事を考えているとガシッと杏寿郎に腕を掴まれた。
そして説明を求めるように見つめられる。
「……あ、」
つむぎはその瞳を見て我に返り、戸を指差してから手で丸を作った。
杏寿郎の顔にパッと明るい色が浮かぶ。
杏「失礼します!!」
「し、失礼します…。」
杏寿郎に続いて部屋に入ると、背を向けて座っていた父親・槇寿郎が振り返った。
槇「……何の用だ。」
槇寿郎は杏寿郎にそう問うと、今度はつむぎに視線を移した。
その鋭い瞳に射抜かれ、つむぎは背中につうっと汗が流れたのを感じた。
「お、お初にお目にかかります!杏寿郎さんの同期の五十嵐つむぎと申します!突然上がり込んで申し訳ありません!」
思わずそう言って頭を下げると、隣の杏寿郎は眉尻を下げてつむぎを見つめた。