第2章 煉󠄁獄家
杏「只今帰りました!!!」
大きなその声を聞いて出てきたのは、まだあどけなさが残る弟・千寿郎ただ一人であった。
千「兄上っ!!」
杏寿郎は駆け寄って来た千寿郎の頭を優しく撫で、『出迎えご苦労!』と言った。
つむぎはそんな心温まる姿から廊下へと視線を移す。
(初任務の帰りなのに…。炎柱様、もしかして結構なご病気なのかな…。)
千「あの…、そちらの方は…?」
つむぎがその言葉にハッとして千寿郎の方を向くと、杏寿郎がにこりと笑みを浮かべる。
杏「ああ、こちらは同期の五十嵐つむぎだ!任務地が被ってな!俺が少々負傷したので付き添ってくれたんだ!!」
「え!?煉󠄁獄くん、耳聞こえてるの!?」
つむぎは千寿郎の言葉にすんなり答えた杏寿郎を見てそう言った。
しかし、杏寿郎は笑顔のまま首を傾げる。