第1章 始まり
鬼「何をしたッ!!お前みたいな小せぇ女に斬られるハズがねぇ!!」
「私みたいな女に倒された君は何なのかな。私を貶すと君も惨めになるよ。」
つむぎはそう答えながら刀を鞘に仕舞い、警戒するように周りを見渡した。
鬼「呼吸も…風車の呼吸なんて聞いたことがねぇ!ふざけた名前の呼吸の使い手に殺されたなんて屈辱だッ!!」
そう言われるとつむぎは若干眉を寄せた。
「………風は名乗らせないって言われたの。仕方ないでしょ。」
鬼「何意味わかんねぇこと、」
鬼はまた言い返そうとしたが、その前に塵となって消えてしまった。
周りに鬼がいない事を確認し終えたつむぎはふぅと息を吐く。
そして長い髪を結い直した。
(…………… "ふざけた名前"って何よ…。)
聞き流そうと思っていたワードだったが、気が緩んでいたこともあり気になってしまった。
———『お前の剣技は風というより風車だな。』
馬鹿にした声音ではなかったが、当時のつむぎはその言葉に随分と傷付いた。
風の呼吸を継ぐ一族に生まれた者なら当然だろう。
しかし、つむぎは丸太でさえ一撃で輪切りにすることが出来なかった。
それ故に連撃する必要があり、回転技を編み出したのだ。
そして、それを鼻高々に披露した結果が先程の言葉である。