第1章 始まり
(他に思い付かなくてお父様が言ったまま名付けたけど…、他の方が良かったかな…。)
そんな事を思っていると東の空が明るんでくる。
「………………朝だ……。」
(さっきの川で身を清めたら次の夜に向けて眠ろう。何としてでも勝ち残らないと…!)
つむぎはそう思うとぎゅっと握り拳を作ったのだった。
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そうして今が何日目なのか忘れかけた朝、
藤の花を見付けたつむぎは導かれるようにそれを目指した。
「……藤の花……私……、」
そう言うとハッとし、慌てて懐に手をやる。
そして一枚の紙を取り出した。
「…………わたし…生き残れたんだ……。」
見つめる先の紙にはただ一から七の漢数字が並んでいる。
つむぎは朝が来る度、数字に傷を付けて日付けを数えていたのだ。
まだ実感が湧かないまま川で手拭いを濡らし、体を清め、綺麗に髪を結い直す。
そして、ようやく集合場所へ向かった。