第1章 始まり
「きっとこの最終選別も突破できる。見守っていて下さい…いなさお兄様、のわきお兄様…。」
きっと困った様に眉を寄せているであろう二人を思い浮かべ、つむぎはくすりと笑った。
そんな満ち足りた気分に浸かれたのも束の間。
「!!」
つむぎは小枝を踏む音に反応してパッと柄に手を遣った。
周りの空気がじっとりと重くなる。
(……来る。)
予感通り正面の茂みから細身の鬼が飛び出して来た。
つむぎは突進して来た鬼を悠々と躱し、ダンッと地を蹴ると高く舞う。
「風車の呼吸、伍の型——薫風舞舞ッ!!」
緊張を孕んで声が力む。
つむぎはグッと歯を食いしばると空中でギュルルッと前方に回転し、鬼の首に連撃を与えた。
———ゴトリ
重みのある音が響いた後、視線が合った鬼がまさしく鬼の形相になった。