第9章 (※)依存
(へんな感じ…。初めて会った時から全然変わってないところもあるのに…全く違う気もする…。)
つむぎは両手で杏寿郎の頬を包み、優しく顔の角度を変えながらその顔立ちを見つめた。
杏寿郎がそれを受け入れながらゆっくり瞬きすると、つむぎは親指で確かめるように頬を撫でて微笑んだ。
(そうだよね…もう十九だし、私より歳上だし…そりゃ大人っぽくなるよね…。私達の関係もおママゴトじゃないんだから、もっとしっかりとしたものにしていかなくちゃ…。)
そう思うとつむぎは改めて呼び名や口調について慣れていこうと決めたのであった。
「杏寿郎さん、」
落ち着きを取り戻したつむぎが、静かな声色でハッキリと呼び掛ける。
すると杏寿郎は少しドキッとし、同時に嬉しいような、距離を感じてもやもやとするような、複雑な感情を抱いた。
杏(呼ばせておいて妙な気分になったな。)
そう思いながらも杏寿郎は優しく微笑んだ。
杏「…ああ。」
そう言いながら真似るようにつむぎの頬を撫で、目を細めながら少し首を傾けた。