第9章 (※)依存
杏(これは堪らないな。流石にこれ以上傷を付ける訳にはいかないが…。)
杏寿郎は独占欲が満たされるのを感じながら両の腕を抜き終え、再びつむぎに覆い被さった。
杏「では君も同じように袖を抜いて貰うぞ。」
「えっあっ」
つむぎは咄嗟に抵抗しそうになったが、杏寿郎の逞しく男らしい体を見ると赤くなって借りてきた猫のように大人しくなった。
杏(また妙な態度になったな。これはこれで愛らしいが、やはり理由が気になる。)
杏「つむぎ、」
そう言いながら杏寿郎がつむぎの顔を覗き込むように体を寄せると、つむぎは真っ赤な顔で肩を跳ねさせた。
「きゃあっ」
その悲鳴を聞いて杏寿郎は固まった。
つむぎは自身の華奢な体格や非力さ、そして女である事に強いコンプレックスを持っていた。
なので、ここまで女らしい悲鳴を上げたことがなかったのだ。
この声に戸惑ったのはつむぎも同じで、口を両手で押さえて更に赤くなっていた。
杏(…………………………愛い。)
不意打ちを食らった杏寿郎は片手で口元を覆いながらつむぎを見下ろした。