第8章 (※)二人切り—その弐
「な、なに…?」
杏「お休み。良く寝てくれ。」
杏寿郎はそう言うと顔を天井に向け、さっさと目を瞑ってしまった。
「…………おや、すみ……。」
呆気に取られているつむぎの目の前で杏寿郎が静かな寝息をたて始める。
(え、え……、)
その呆気無さにつむぎは戸惑って思わず杏寿郎の手を引いた。
(あ、やっちゃった…。)
そうは思いながらも、なんだかんだ起きて欲しかったつむぎは少し期待を込めながら杏寿郎を見つめた。
しかし杏寿郎は相変わらず静かな寝息をたてるばかりで起きる気配がない。
(……………………………………。)
つむぎは二人で風呂に入ってから持て余していた熱を自覚すると、太腿を擦り合わせて眉尻を下げた。
ちらりと見遣る杏寿郎は早くも深く眠っているように見える。
(……さっき引っ張ったときにも起きなかったし…。ちょっと、だけなら……。)
そう思うと下半身に片手を伸ばした。