第8章 (※)二人切り—その弐
「他の柱の方もこんなお屋敷に住んでるのかな…。」
つむぎは一室に入ってそう言うと、室内を見渡しながら羽織りをゆっくりと脱いだ。
それを見ていた杏寿郎が首を傾げる。
杏「この部屋にするのか。何もこんな手前の部屋に決めなくても良いだろう。もっと見て回ると良い。」
「いや…、一応住まわせてもらってる身だし…お客さまの応対とかしようかなって思っ」
杏「二人切りは駄目だと言ったろう。」
「…く、来るのが男の人とは限らないし…それに、お客さまはまた別でしょう…?」
つむぎは困った顔をしたが、杏寿郎はつむぎの羽織りを奪い、手を掴み、その部屋を出てしまった。
「ね、ねえ…、」
杏「俺が居ない間、誰が訪ねて来ても出るんじゃないぞ。」
「そんな…おおげさだよ!大事な用があったらどうするの!」
そう問い掛けた時、杏寿郎は選んだ部屋へ入った。