第7章 二人切り
「本当は分かっているんでしょう?だってそうじゃなきゃ辻褄が合わない。杏寿郎くんの事がどうでも良いなら『鬼殺隊を辞めろ』だなんて言わない。」
杏「…鬼殺隊が気に入らないだけかもしれないぞ。」
「それなら杏寿郎くんの事までわざわざ悪く言うのは何で?『お前には才能がない』とか言わないで、『鬼殺隊がくだらない組織だから辞めろ』って言えばいい話なのに。」
問われた杏寿郎は頬を包むつむぎの手に自身の手を重ねた。
杏「何故だろうか。」
つむぎは弱い部分を見せてくれる杏寿郎を愛おしく思った。
「杏寿郎くんの事ばかりに意識がいってるからだよ。杏寿郎くんがああだから、こうだからって言っているのはそこに隠したい事があるから。お父様は杏寿郎くんが危ない目に遭ったら耐えられないんだよ。」
つむぎがそう言い切ると杏寿郎はもう反論してこなかった。
その代わりにつむぎの手を大事そうにぎゅっと握った。
杏「君がそう言うのなら…、そうなのだろうな。」
「…うん。自信あるよ。」
その頑なな声色に杏寿郎は眉尻を下げて笑った。