第1章 始まり
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「……ん、」
つむぎが緩く覚醒すると、杏寿郎はもう身を起こしていた。
そして着崩れを直しながらつむぎに眉を寄せた顔を向ける。
杏「そんな顔を男に見せるのはどうかと思うぞ。」
「寝起きに表情を指摘されても…。」
つむぎはそう呟くと布団を捲り、膝まで顕になっている足を出した。
すると杏寿郎が後ろを向く。
つむぎはそれに気付かずに立ち上がり、着崩れを直して羽織りに腕を通した。
そして首を傾げながら杏寿郎の肩を叩く。
「おひる、食べに、行こう?」
つむぎのジェスチャーを見た杏寿郎は口角を上げて頷いた。