第1章 始まり
———
杏「うまい!…うまい!!」
「すみません、朝食の後『うるさいから止めて』って伝えたんですが…。」
つむぎが困った様に女性に謝ると、その女性は只々微笑んだ。
女「いいえ、喜んで頂けて何よりです。」
「……良かったです。」
つむぎは女性の優しい微笑みに緩んだ笑みを返した。
そして一口頬張り、『確かにとっても美味しいです!』と笑った。
———
「桜、帰ってきたばかりなのにごめん。お願いね。」
昼食後、縁側に立ったつむぎは両親への手紙を鴉の脚に括り付け、再び空に放ってから部屋へ戻った。
「煉󠄁獄くん。」
つむぎは隊服に着替えた杏寿郎の肩を叩いて机の前に座った。
そして紙に筆を走らせる。