第7章 二人切り
杏「ご報告があって参りました!」
杏寿郎はそう切り出すと、自身が十二鬼月を討ち取ったこと、お館様から正式に柱に任命された事を伝えた。
杏(つむぎの読みが正しければ父上は俺を決して認めないだろう。だが…、もしかしたら)
槇「柱になったから何だ。」
いざそう言われると、杏寿郎は目を見開いて固まってしまった。
槇「くだらん…どうでもいい。どうせ大したものにはなれないんだ。お前も、俺も。」
死にそうな怪我を負いながらも、強い信念と誇りを持ち、敵の前に立ち続けた。
その在り方も努力も、何もかも、ずっと認めてもらいたかった父親に否定されてしまったのだ。
杏(…………いや、分かっていたことだろう。父上は今、俺を認める事が出来ない状態なんだ。…仕方の無い事だ。)
そう思い直すと黙って頭を下げ、そのまま部屋を出た。