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炎環に舞う【煉󠄁獄さん/救済】

第7章 二人切り





———




杏「……ただ今帰りました!!」




お館様から正式に柱に任命された杏寿郎は、少し緊張を孕む声を出した。

すると千寿郎が明るい笑顔で駆けてくる。




千「兄上…っ!兄上!おかえりなさい!」

杏「出迎え御苦労!!」




杏寿郎は兄らしい温かい笑顔を浮かべると千寿郎の頭を優しく撫でた。


そして玄関から続く廊下に視線を向けた。



それと共に四年前のつむぎの言葉を思い出す。





———『炎柱様は煉󠄁獄くんが心配なんじゃないのかな。』





その言葉を思い出すと杏寿郎の強張った喉が緩む。

記憶の中のつむぎが真剣な顔でこちらを真っ直ぐに見つめ、再び鉛筆を握った。




『お父様が言ってた。炎柱様は家族思いの優しい方だったって。奥様とご子息が大事で仕方ないって言ってたって。心配じゃないなら隊士になった事をわざわざ怒らないよ。』




文字として読んだ文であったが、今はつむぎの声で再生される。

杏寿郎は思わず笑みを浮かべてしまった。




杏(ああ、確かに父上は元々そういう方だったな。)






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