第7章 二人切り
(杏寿郎くん、わたしがきちんとした気持ちを持ってなかったことに気付いていたんだ…。)
「杏寿郎くん…あの、ごめんなさい……。」
涙を滲ませ、そう言いながら見上げる。
すると杏寿郎は嬉しそうな柔らかい笑みを浮かべていた。
杏「構わない。」
杏寿郎を意識し始めたばかりのつむぎは、そんな魅力溢れる杏寿郎を直視出来なかった。
杏「よもや。何故拒むように目を閉じたんだ。」
「こっちの都合だから気にしないで…!」
そうは言われても見上げて目を閉じられればする事は勿論決まっている。
「ひぅッ」
口付けられたつむぎは変な声を上げると後退って転びそうになった。
杏「おっと。」
杏寿郎は転びそうになったつむぎの手を引いて自身の腕の中に収めた。