第7章 二人切り
か「ああ、お帰り。広隆を助けたそうだな。ここまで礼を言いに来たよ。」
「あ……はい。」
つむぎは杏寿郎に気を遣って男の面会にNGを出していた。
その為、代わりにこちらを訪ねたようだ。
(あの人、ひろたかっていうんだ。悪いことしたな…。)
か「それに今回も月堕ちだったらしいじゃないか。」
その言葉につむぎは少し眉を寄せる。
褒められるに価しないと思っていたからだ。
「今回の鬼は一瞬陸になれただけのようでした。それなのに…、」
そう言ってつむぎが唇を噛むと、かざみは少し呆れたように息を吐いた。
か「まったく…。一番負けん気が強く育ったな。お前は壱にまで上り詰めた事がある月堕ちも討ち取っただろう。」
つむぎはそれでも素直に喜ばない。
剣を褒められたくて仕方がなかったつむぎであったが、今は少し状況が変わっていた。
つむぎはもっと上へ行きたいのだ。
だが、かざみは違う。
つむぎの兄である、いなさも、のわきも、甲まで上り詰めた過去がある。
そして、柱になる為の任務、対十二鬼月戦で命を落としている。
かざみはつむぎに上へ行って欲しくないのだ。