第7章 二人切り
「……絶対、安静にしててね。待ってるから。」
(ここまですれば喜んで大人しくする、よね。)
つむぎは逸らしていた視線を杏寿郎の顔に戻すと、ぽかんとしている表情を見てカッと頬を熱くさせた。
杏「つむぎ、」
「じゃあね…!」
杏寿郎は相変わらず呆気に取られながらバタバタと出ていくつむぎを見つめた。
杏「……つむぎは俺の事が好きなのだろうか。」
普通なら、付き合っておいてそんな言葉が出てくれば、少しは惨めな気になるのかもしれない。
だが、杏寿郎は期待に目を輝かせたのだった。
———
「ただ今帰りました!」
つむぎは負傷した恥から眉尻を下げながら声を上げた。
しかし、迎えに出て来たかざみは笑みを浮かべていた。