第1章 始まり
杏「少しなのは時間か!助かった!では食事の時にまた頼む!!」
杏寿郎がそう言ってにこっと微笑むも、つむぎは首を傾げるばかりで出ていかない。
「……わたしの、へや、ここ。」
杏「それは駄目だ!!!」
杏寿郎は初めて眉を寄せた。
つむぎはその顔にムッとした表情を返す。
そして紙に『仲間でしょ。女扱いされるの嫌い。それに部屋に余裕がないって言われた。』と書く。
杏「駄目だ!もう一度家の者に掛け合ってくれ!それにこれから眠るんだぞ!君は俺と布団を並べて眠る気なのか!」
それにもつむぎがすぐさま頷くと、杏寿郎は困った様に眉尻を下げてしまった。
その様子を見たつむぎは『女だから剣を諦めろって言われて育ったから、女扱いされるの嫌い。』と、書き足した。
その文とつむぎの頑固そうな表情を見た杏寿郎は、少し息を吐いてから切り替える事に決めた。
杏「布団はなるべく離して敷くぞ。」
それにつむぎは女らしい花咲く笑顔を返したのだった。