第7章 二人切り
杏「ありがとう!!」
「でもこのつば、付ける向きまちがえてない…?前からびみょうに気になってたんだけど…。」
確かにつむぎの言う通り、杏寿郎の鍔は普通に構えた際に炎が下向きになってしまう。
すると、杏寿郎はベッド脇に置いてあった刀を手に取り、鞘に収めたまま肩に担いだ。
杏「こうすれば正しい向きになるだろう!」
「……そっか。私の呼吸ではそういう構えしないから考えてなかった。なんかかっこいいな、それ…。」
つむぎはそう言いながら少ない持ち物をポケットに仕舞っていく。
杏寿郎はそれを邪魔したくなってしまった。
杏(…あと少しだ。そうしたら好きなだけ触れ合える。)
そう思うと己を律し、ぐっと拳を握る。
そんな杏寿郎の視線の先でつむぎが支度を終えた。
「じゃあ、わたし行くね。けがが治り次第、杏寿郎くんが来るってことも改めて親に伝えておくから。」
杏「……ああ!頼む!」
つむぎは杏寿郎の笑顔を少し首を傾げて見つめた後、ベッドに歩み寄った。
そして、杏寿郎が何をするのかと見ている目の前で屈み、額に軽く触れるような口付けを落とした。