第7章 二人切り
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杏「つむぎ。」
そろそろ寝ようとした時、杏寿郎がつむぎに声を掛けた。
つむぎはただ首を傾げた。
その様子に杏寿郎が目を細める。
杏「君に訊きたい事がある。これを見てくれ。」
そう言ってサイドテーブルの引き出しから取り出したのは若草色のリボンと数通の手紙だ。
つむぎは目を見開くと急いで掛け布団を被ってしまった。
杏「つむぎ、話をしよう。何故これが蝶屋敷にある。」
「…………しらない。」
杏「その嘘吐きはどうにかならないのか。」
杏寿郎がそう困ったように言いながらつむぎに近寄ると、布団の山がビクッと震える。
「こ、こわいことはしないで…。」
その震える声に杏寿郎は眉を寄せた。