第7章 二人切り
それから二人は運ばれてきた食事を食べ、再び眠り…と繰り返し、怪我人らしく穏やかに過ごした。
し「うん、良くなってきていますね。いつもみたいに鍛錬をしない分、治りも早いですよ。」
杏寿郎の怪我の具合いを診たしのぶはそう言って微笑んだ。
その様子を見ていたつむぎは杏寿郎を見て眉を寄せる。
「怪我して蝶屋敷のお世話になっている時も鍛錬してたの…?」
その問いに杏寿郎はにこりと笑顔を返す。
杏「していないぞ!!ただ、少しだけ」
し「してました。」
杏寿郎は少し物言いた気な顔をしたが、ここ蝶屋敷の女主人の冷たい声に口をきゅっと結んだ。
つむぎはそんな杏寿郎を見て少し呆れたように息を吐く。
「治りが遅くなるよ。今回は特にひどい怪我なんだから、絶対に」
し「まあ、よくそんな事が言えますね。つむぎさんもですよ。腕を折った時、『使った方がはやく治る』と言って剣を振るおうとしていましたよね。」
杏「それは酷いな!!」
つむぎはしのぶに眉尻下げた顔を向けた。