第7章 二人切り
杏「………………………………。」
杏寿郎は緩く覚醒すると二回瞬きをした。
胸には心地の良い熱があり、穏やかな寝息が聞こえる。
杏(…………つむぎ、)
そこに居るのがつむぎなのだと理解すると、その桜色の頬を撫で、優しく微笑んだ。
杏(そうか、ずっと此処で寝てくれていたのだな。)
そう思うと嬉しくて口元がむずむずとしてしまう。
そして堪らずぎゅうっと抱き締めた。
「ゔぅ…っ」
杏「すまない!起こしたか!」
杏寿郎が慌てて腕の中を覗くと、つむぎは眠そうな顔で杏寿郎を見上げた。
「………おはよう、杏寿郎くん。今なんじ?」
杏寿郎はつむぎが怒っていない事にほっとし、眠そうに上がりきっていない瞼を撫でた。
つむぎはそれがこそばゆくて少し眉を寄せる。