第7章 二人切り
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二人が寝付き、日が昇って蝶屋敷が静けさを取り戻した頃———、
し「…………これはどういう事でしょう……。」
様子を見に来たしのぶは額に青筋を浮かべた。
ベッドがくっついていた上に、杏寿郎がつむぎを抱き締めたまま寝ていたからだ。
しかし、近寄ってみると二人ともあどけない顔で熟睡してしまっている。
二人が蝶屋敷を利用したのは勿論今日が初めてではない。
今までのことを覚えていたからこそ、しのぶは二人を起こせなかった。
し(お二人共、足音が聞こえればすぐに起きてしまう人だった。でも、)
しのぶがベッドのすぐ側まで近寄っても二人は起きない。
し(……煉󠄁獄さんの怪我は酷い状態だった。安静に寝ていてくれるのなら、これくらいは目を瞑りましょう。)
そう思うと手を伸ばし、つむぎの髪を耳に掛ける。
し(丸く収まったと言っていたけれど、つむぎさんの心は救われたのかしら。)
し「……失礼します。」
そうしてしのぶは小さく呟くと静かに病室を出て行ったのだった。