第7章 二人切り
「きょ、杏寿郎くん…ありがとう。」
杏「行き帰りでは転ばなかったか。随分と遅かったろう。何かあったのか。」
「それが…、」
そう言いかけて口を噤む。
杏寿郎の後ろで、話を聞かないようにしながら床を掃除するアオイの姿が見えたからだ。
「アオイちゃん!そ、そんなこと…、」
ア「つむぎさん、任務お疲れ様です。足を負傷したと聞きました。お大事になさって下さい。」
「うん…ありがとう…。その、掃除はしのぶさんに頼まれたの…?」
そう問うと、アオイは再びバケツに雑巾を落とした。
ア「はい。煉󠄁獄様も似たような事をお訊きになりましたが、何か共通した理由があるのでしょうか。」
「……それは…、」
杏寿郎は言い淀むつむぎを横抱きにし、自身の隣のベッドに横たえさせた。