第7章 二人切り
杏「胡蝶に何と頼まれたんだ。」
ア「特に何も。ただ、『アオイも男には気を付けなさい。』と言われました。煉󠄁獄様のような方は別でしょうが。」
杏「…そうか。」
女の子、もといアオイはバケツの水で雑巾を洗うとそれを絞り、眉を寄せた。
ア「失礼ですが、こちらは何を零されたのですか?その…、臭いが少々…、」
そう問われた杏寿郎はなかなかのダメージを受けた。
杏「それは…、」
———バタンッ
杏寿郎が意を決して答えようとしたその時、今度はつむぎが乱暴と言えるほど勢い良く戸を開いた。
戸に手をかけたままバランスを崩してしまったからだ。
「わっ」
杏「!!」
杏寿郎はしのぶの絶対安静の命令を破り、ベッドを出てつむぎを抱き留めた。