第7章 二人切り
し「言いたい事は色々とありますが、まず上体を起こさないで下さい。」
杏「承知した!!」
つむぎは杏寿郎が大人しく横になるのを見届けると、胸ポケットからハンカチを取り出して床に落ちた白濁液を拭こうと屈んだ。
杏「つむぎ!そんな」
し「つむぎさんも安静にしていて下さい。」
二人に声を掛けられたつむぎはビクッと肩を跳ねさせてから頷いた。
「す、すみませんでした。」
し「こちらの椅子にお掛けください。」
しのぶはつむぎにベッド脇の椅子を勧め、自身の分の椅子を部屋の隅へ取りに行った。
「杏寿郎くん…。」
杏「心配するな。君に非はない。」
「私の心配はしてない。」
そんなやり取りをしている間にしのぶはつむぎの隣に椅子を置き、すとんと腰を下ろした。
杏寿郎の喉がごくりと鳴る。