第1章 始まり
———
(ここから遠い…間に合うかな……。)
一方、つむぎは走りながら眉を顰めていた。
(早く着かなきゃ…!)
そう思うつむぎは知る由もなかったが、その任務地は律と知世子が願った通り四人とも同じ場所であった。
ただ———、到着した時間だけは異なっていた。
「あっ!煉󠄁獄くん!!煉󠄁獄くん、大丈夫!?鬼はどこ!?」
やっと任務地に着いたつむぎは遠くに杏寿郎を見付け、汗を拭いながらスピードを緩めた。
「……っ」
(……出来る限り……急いできたけれど…、)
そう思いながら杏寿郎に近付いてみれば既に死屍累々であった。
その中で杏寿郎だけが立っていた。
「煉󠄁獄くん!?どうし、」
呼びかけに応じなかった杏寿郎が気配を感じてパッと振り返る。
その耳からは血が流れていた。