第1章 始まり
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そうして鬼殺隊士として準備が整ったその夜、とうとう初の指令が来た。
「行って参ります!!」
門の前でつむぎがそう告げると、母の都代子はつむぎを抱き締め、かざみはつむぎの小さい手を両手で握った。
か「無事に任務を終えたら必ず鴉を飛ばして報せなさい。」
都「待っていますからね…。」
数え切れない程反対の言葉を掛けられてきたつむぎは、二人の対応に少し泣きそうになってしまった。
それをぐっと堪えると、右腕を母の体に回し、左手で父の手を握り返す。
「はい…お約束します。立派に鬼を討ってきます。」
そう約束したつむぎは二人から体を離し、お辞儀をするとバッと走り出した。
都「つむぎっ!!」
かざみは思わず名を呼んでしまった都代子の肩を抱いた。
か「……大丈夫だよ。確かにあの子の腕力は弱いけれど、足の速さは全盛期の私に近い。あの子を信じよう。」
その言葉に涙を浮かべる都代子は頷いた。